現在、秋保の里山660ヘクタール(約150万坪!)もの山林に国内最大級の太陽光パネル工場の建設が予定されています。今年3月10日に事業概要について、地権者を対象とした説明会が開催され、住民は初めてそのような計画があることを知りました。
そのニュースを聞き、地元民はすぐに動き出しました。「秋保作並里山の未来を考える会」の立ち上げもその一つです。私もメンバーである「考える会」では、皆様の意見を集約して要望書と共に市や県の該当局に提出すべく、現在奔走中です。
先日は、すでに受け取った1200通の意見書を持って市長宛の要望書を環境局を通してお渡ししてきました(要望書の内容はこちらhttps://akiusolar.myportfolio.com/16297889407742)600ヘクタールというあまりにも広大な規模なこともあり、多くの議員の方々も関心を示してくださり、市議会と県議会でも、大河原ふゆこ市議を含む多くの議員が取り上げてくださいました。
1200通の意見書は全国から送られてきたのですが、全国各地で同じような状況に人々が頭を悩ませ、将来に不安を覚えていることがわかりました。自分の地域やその近郊にメガソーラーが迫ってきている地域が増え、多くの国民にとって、メガソーラーは他人事ではない「自分の問題」となっているのです。
それなのに、住民が事業計画を知るのは、かなり計画が進んだ段階で、「反対してもどうにもできない」ということがよくおきます。
再エネ事業の乱開発による自然への影響は計り知れません。動物が住処を失って民家に降りてくる、山麓の田畑への土砂流入、水質汚濁、水枯れ、大雨時の土砂崩れ、景観悪化などなど。これらに加え、最近メガソーラー火災が相次いだことで災害時の問題が露呈し、住民はメガソーラープロジェクトに対する不信感をますます募らせています。
それだけではありません。「合同会社」を名乗り、実体がよくわからない企業が参入しているのを散見しますが、ホームページがない、住所がレンタルオフィスであるなど実態がわからない企業も多く、結局は外資なのではと疑ってしまいます。また会社がコロコロと変わって責任の所在がわからないことも多々あります。
再エネはエネルギー問題だけではない。土地買収、水源の確保、安全保障といった様々な観点から考え監視していかなければならないと思います。でなければ再エネの問題を本当に理解することはできません。
私たち家族が秋保に引っ越してから一年以上経ちました。朝起きて散歩するのが日課ですが、山々を見上げるたびに自然の美しさに思わずため息が出ます。人間は自然の中で生かされているちっぽけな存在だ、と謙虚な気持ちになります。そして感謝の心が湧き上がってくるのです。
自然は感謝し調和するものであって、利用し搾取するものではない。搾取ではない新しい自然との関わり方を、私たちは再度発見していかなければなりません。
同時に里山の利活用、リデザインを具体化していくことが大切です。山はダイヤモンドのようなもの。いやそれ以上の価値があります。それを発掘し、磨き、輝かせていかなければなりません。私たち国民が森と大地とのつながりを取り戻すことでしか、山林の乱開発を止めることはできないからです。
国としても、ここで一度立ち止まり、どうしてもこの課題に向き合わなければならない時期に来ていると思います。このまま野放しにし、自然が破壊されていくのに何も策を講じなかったなら、国民と政府の間に深い不信感の溝が生まれ、それを埋めるのはもはや難しくなってしまうでしょう。
今回の開発予定地は全域が「市街化調整区域」にあたり、大規模に森林を開発して工場を建設することは不可能な土地」になります。「太陽光パネルや蓄電池の製造工場は開発許可の対象とはならないと考えている」と6月の仙台市議会でも郡市長から答弁がありました。
しかし、「メガソーラー」の建設は、要件をクリアさえすれば可能です。現段階では、開発の内容が許可基準を充たしているなら、県としては許可はせざるを得ないものなのです。
ですから「里山の未来を考える会」でも、「市街化調整区域だから建たないね」と安心して呆けるのではなく、今後の動向をしっかりと注視していきたいと思っています。現状の法律や条例では守りきれないのがメガソーラー。法の整備も急務ですが、住民が早め早めに情報を取りに行き、なるべく初期の段階でインターセプトすることが非常に大切だと思います。
会では、今も意見書を募っています。皆様の声を一つでも多く集め、自治体に届けていきたいと願っていますので、ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
意見書フォームはこちら🔽
https://akiusolar.myportfolio.com/16297a11078bed
ローレンス綾子